先週この欄で、今、ある大手企業のグローバル化のための
ミーティングを実施していることをお伝えしましたが、
今週は、その企業の人事部長さんとのミーティングがありました。
ここで少し日本の企業が変わってきていることを感じることがありました。
最近は、オフィスビルのセキュリティも厳しくなっています。
今回お伺いしたオフィスは、港区の40階を超える最新のビルで、
事前にアポイントを取った時にメールで送られて来ているコードを
メイン受付に提示すると館内に入れるセキュリティーカードが渡され、
そのカードでゲートを通過し、エレベーターもそのカードをかざさないと
行先の階数ボタンが押せない仕組みになっております。
日本のビルではまだ珍しいのですが、実はフィリピンではかなり普及していて
高級なコンドミニアム は皆そのようになっています。
さて、エレベーターで25階まで行き、会社の受付で先ほどのコードをiPhone
でかざして、相手先の名前を伝え、眺望の良いロビーで待つこと数分。
二人の女性が現れました。
すらりと背の高い一人の女性が、人事部長さんで、もう一人の女性が、
人事部のグローバル化担当部長ということです。
企業レッスンでいろいろな企業に訪問することが多いのですが、人事の職責者は
基本男性、女性は担当者か主任レベル、そして基本的に英語は苦手というのが
お決まりの人事部のイメージの中、1兆円を超える売り上げの企業の人事部長、
担当部長が共に女性というのは驚きの経験です。
今回はScottと二人で訪問し、基本は日本語でミーティングをしていたのですが、
Scottに話しかける時は自然に流暢な英語で話すというのも驚きでした。
聞くと、人事部長に赴任したのがこの10月でそれまで7年間タイにいたとのこと。
7年前にタイに新会社を設立するために渡航し、そのまま、この9月まで社長として
タイ、インド、中国などとのビジネスを行って来たそうで、インド人との会話の
機会も多かったため、インドなまりの英語になってしまうと笑っていました。
さすが、「若い世代はグローバルで仕事が出来ないとこれからは通用しなくなると
折を見て話をしている」と言っていたプレジデントの起用と感心をした次第です。
ただ、このミーティングの話の中で、相変わらずの日本企業の課題も出て来ました。
彼女がタイで社長をしていた時、海外の企業は何も違和感なくビジネスが
できた中で、日系企業とのビジネスになると、必ず「女性の社長さんですか?」
と言われ、なかなか仕事がしずらかったようです。
また、国内に戻ると、社内では、
「日本で働くからには日本語を学んで日本語でビジネスができないとダメだ」
と思っている方が非常に多いという事で、
プレジデントと人事部長がいくらグローバル化していても、
大きな企業をグローバル化するのは本当に大変なようです。
でも一方、日本の会社に残されている時間が少ないのも間違いありません。
実は今、日本で最大、最優良企業のトヨタが今、1989年に時価総額
世界トップ6だった巨人IBMがたかだか5年で倒産の危機に陥った時と
同じような状況と言われています。
詳しくは省きますが、これは世界的なEVシフトで、ガソリンエンジンで
圧倒的な強みを発揮してきたトヨタを支える部品メーカーや
ディーラー網の資産が重荷に働くことと、自動運転の実用化が
近づいているダブルパンチを食らうからです。
自動運転が実用化されると、今までほとんど車庫で眠っていた車の代わりに、
24時間自動で車が動くようになり、世界で必要な台数は激減します。
タクシーやトラックが、今、運転手と対になって動いているのが、
自動運転になって2台が1台で賄えるようになることだけでも半減する
ばかりでなく、24時間自動で動き回っているライドシェアの車があれば、
90%以上車庫に眠らせておく必要がないと思う人がかなり出ることも
まちがいないでしょう。
トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」に力を入れて模索しているのも
その危機感の表れです。
この動画で、ホリエモンがトヨタの課題を挙げています。
パナソニックが10年後にはつぶれると危機感を持っているのも、
今、韓国、台湾、中国企業にかなわなくなってきているのを
実感しているからでしょう。
今、台湾企業のTSMCが半導体ファウンドリで世界市場の54.1%を占め
(サムソン15.9%)、営業利益で1兆3400億円もかせいでいる
というのもほとんどの日本人は知りません。
パナソニックはテスラと組んで電池事業を進めていますが、
競争力を生み出す核心部分はテスラに押さえられていて、
単なる下請け的な地位です。
韓国ドラマやKポップは日本に学んでいたのが、今や世界での人気では
日本はとてもかないません。
なにがそんな違いを生んだのか? 韓国は最初から世界を見据えて
いたため、YouTubeにアップするときにも英語で発信したのに対し、
日本はいまだに日本語だけで発信しているからです。
「シン・二ホン」のなかで安宅和人さんが、GAFAの幹部と話を
していると 2010年頃にはすでに、「日本人はレベルが低くて
採用できる人材がいない」、
OECDの幹部から「日本は巨額出資者だから日本人を採用したいが
水準に達している人材がいなくて採用できない」
と言われていると書いています。
日本企業は、今すぐにグローバル化をして世界の現状を知り、
明治維新の時のように世界に学ぶ姿勢をつけ、DXを取り入れ生産性を
高めない限り、10年後には世界から取り残されてしまいます。
この企業のように女性活躍も積極的に進める必要がありますね。
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