英語を話せるようになる学習法は、今や巷に数多く溢れていてどれもキャッチフレーズを見ていると魅力的です。
「楽しくゲームをしながら英語を学べる」 「スマホでできるTOEIC対策」 「1週間で英語ペラペラ」 「本当に最速で話せる英語 インド式」 「聞き流すだけ」
これらのキャッチフレーズを見ていると誰でも簡単に英語を話せるようになりそうです。
私もこれらを試したわけではないので、効果があるかないかは判断できないのですが、DCECの学習法からすると「聞き流すだけ」はやってはいけない事です。
なぜか?
DCECの英会話学習法は、脳科学や行動心理学の研究に基づいて実施しているので、 「CDリスニングは1回10分でいいから意識を集中して聞いてください」 とお願いしています。
なぜなら、人間の脳は、自分が重要だと認識していない情報は見えなくなるという機能を擁しているからなのです。
それはRAS(reticular activating system)、日本語では「網様体賦活系」という意味のわからない言葉で表されている機能、人の脳の活性化ネットワークで、毎秒五感に入ってくる大量のメッセージの中から、どれが重要なメッセージかを選択するフィルターの役割を果たしているそうです。
このRAS(ラス)によって取捨選択され重要でないとされた情報は見えなくなってしまうのです。これをスコトーマ(盲点)というのですが、私たちの目の前にあるものでも見えていないものがたくさんあるのです。
そんなことがあるか。目の前のものは見えているに決まっているじゃないか!と言われた方のために、実験をしてみましょう。
あなたが毎日している腕時計。毎日見ていますよね。 では、今、時計を見ないで、どのような時計だったか紙にできるだけ正確に絵を描いてみてください。
いかがですか?
描けましたか?
では、実物と比較してみてください。
どうですか?
正確に描けていましたか?
これをやると毎日何回もみているにも関わらず、ほとんどの人が細かいところが描けないそうです。
さて、今度は、別の質問です。時計を見ずに答えてください。
さっき時計を確認した時は何時何分でしたか?
あれ?
たった今時計を見たのに正確にわからないのではないでしょうか?
これは、時計を見たけれども、見たのはデザインを確認するために見たのであって時間は重要でなかったため見えていなかったのです。
人間の脳の仕組みはこのように、重要だと思って意識しないと見えなくなってしまうため、「聞き流して」しまったら重要でないと認識して見えない/聞こえない状態になってしまうのです。
日々の生活で目に入ってくるものすべてを意識して記憶をしていたら、その時脳が消費するエネルギーは莫大なものになってしまうので、そのようなことにならないように必要なものだけ見えるようにコントロールしているのがRASなのです。
英語がスコトーマ(盲点)に入ってしまっていたら何時間かけても英語の上達にはつながりません。
このようにしっかり脳の機能を知ったうえで学習しないと思わぬ労力と時間の無駄に直面します。
さあ、毎日のCDリスニングは、1回10分でいいので、その時間は意識を耳に集中して聞くようにしてください。